1月17日、初の無観客大会となった2021年全日本卓球選手権大会最終日は、静まり返る会場のなか男女シングルスの準決勝・決勝が行われた。
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女子シングルス決勝は準決勝で昨年王者・早田ひなとの死闘を制した伊藤美誠と、2年連続の決勝進出・石川佳純の対戦となった。女王への返り咲きを競う二人の戦いは両者一歩も譲らず壮絶な打撃戦へ。最後は自分を信じて攻め切った石川佳純が4-3で伊藤を下し、歴代3位の優勝回数に並ぶ5年ぶり5度目の優勝を果たした。
男子シングルス決勝は新進気鋭の田中佑汰を抑えて勝ち上がった森薗政崇と、昨年のダブルス王者・及川瑞基の対戦となった。先にマッチポイントを握られるも、終始冷静なプレーで得点を積み重ねた及川瑞基が逆転勝利を収め、初優勝をかみしめた。
何もかもが異例ずくめの今年の全日本。慣れない環境で悔いが残ってしまった者も、願いを叶えた者も、無念の棄権に涙をのんだ者たちも、舞台は次の全日本へと・・・。
及川瑞基(初優勝)
目標にしていた優勝が本当に実現すると思っていなかったので、びっくりしていますが嬉しいです。森薗選手は自分にとってやりづらい選手で、スコアも1-3で負けていたんですけど、決勝戦は何が起こるかわからないので、最後は絶対チャンスがあると思ってそのチャンスをものにできたのでよかったです。
張本選手との準々決勝が自分の中でポイントになっていて、そこを勝ちきれたのが自信になって、決勝でもいいプレーができたと思います。
全日本で優勝できたので、今後は世界の舞台で活躍できるように、世界選手権代表や五輪代表に選ばれるように頑張っていきたいです。
石川佳純(5年ぶり5回目の優勝)
1-3で劣勢の中から何とか最後まであきらめずに粘っていけて、だんだん自分の流れになってきているのかなと感じながら、思い切って最後までプレーできたので勝てたと思います。最終ゲーム9-5で勝っていて9-9に追いつかれたときは心臓が飛び出そうになったのですが、「しょうがない。思い切ってやろう」と切り替えてやりました。
(5回目の優勝で平野早矢香さんと並んだことに対して)自分が高校生のときに平野さんが何回も優勝されている姿を見ていたので、本当に偉大な先輩に並べてすごく光栄です。
今の日本の女子はレベルが高いので、その中で優勝できたというのは自分の中でもすごく自信になりました。
全日本で若い世代に勝てないんじゃないか、もう無理なんじゃないかって思ったこともあったし、言われることもいっぱいあって。でもそうじゃないってことを卓球が教えてくれたし、自分の周りのコーチやいろんな人が信じてくれて。逆に自分が頑張って結果が出た時に、同じ思いをしている人にも勇気を届けたいなって思うし、まだまだやれる、まだまだやりたい、という風に今思っています。