2021年に創立90周年を迎えた日本卓球協会は全国47都道府県に点在する協会および連盟、そして36万人に迫る登録会員(2019年度)によって成り立っています。そこで各協会・連盟の安定的な運営や大会運営、練習環境の整備、若年層の育成、シニア層を含む生涯スポーツの普及まで、長年、卓球振興に貢献してこられた功労者の皆さまをご紹介するとともに、お寄せいただいた100周年につながる提言をお伝えして参ります。
(インタビュアー:高樹ミナ/スポーツライター)
一日中走り回った世界選手権東京大会も今ではいい思い出
山本昇治さん
東京都卓球連盟理事長
日本卓球協会の功労者に選出いただき、大変ありがたく思っております。第二次世界大戦の終戦後、焼け野原の中、両親が卓球場を開いたことで私と卓球の関わりが始まりました。小学校低学年の頃、見よう見真似の遊びで始め、その後も小中学校、高校、大学の部活動で卓球を続けました。
就職した大生信用組合では、オーナーが卓球に熱心であったこともあり、10人ほどの卓球チームが編成され、私は長く卓球を続けていたことを見込まれ、就職して間もなく監督として卓球チームを任されました。ですが当時は一匹狼的な選手が多く、チームをまとめるのに苦労したことを覚えています。
これまでの卓球人生で思い出深いのは、2014年に東京で開催された世界選手権です。日本卓球協会からの要請で組織委員会に入ったのですが、組織委員会といってもメンバーは7、8人しかおらず、一人でいくつもの業務をかけ持ちし、何とか大会にこぎつけました。会場は千駄ヶ谷の東京体育館と原宿の代々木体育館(第一・第二)の2会場あり、私は代々木体育館を担当しました。あの広い会場の扉の鍵を一つ一つ開け閉めすることに始まり、試合の組み合わせやスケジュール管理、ブースや売店のマネジメントなど、朝6時から夜中12時過ぎまで足に豆を作りながら動き回ったものです。それも今ではいい思い出になっています。
2016年より、東京都卓球連盟の理事長を務めさせていただいております。東京都卓球連盟は2018年に一般社団法人東京都卓球連盟として法人化したのですが、その準備段階として各区市町村の連盟を東京都卓球連盟の支部として組織化することに取り組みました。組織化には4、5年の歳月がかかりましたが、法人化がスムーズにいったのも、この支部組織を作り上げたことが大きな要因であったと考えております。
現在は東京都卓球連盟役員の定年制の導入に取り組んでおり、令和4年度には定年を75歳にできればと考えております。私も含め役員を務めていると、どうしても連盟の活動で忙殺されてしまいます。人生、与えられた時間は限られておりますから、一定の年齢に達した後は元気なうちに自由に使える時間を持ち、皆さんに人生を楽しんでいただければと考えております。
卓球は年齢を重ねても楽しめるスポーツで、仲間づくりやコミュニティに参加できるなど多くの魅力があります。一方、私は連盟などの活動に忙殺され、もう長く卓球はやっておりません。少し皮肉な話かもしれませんね。
日本卓球の将来について私がお話しするのはおこがましいのですが、日本卓球協会の発展を下支えする意味でも東京都卓球連盟をしっかり運営していきたいと考えております。